2026年9月、OECD(経済協力開発機構)が「PISA2025」の結果を公表しました。
PISAは、世界の15歳の子どもたちを対象に、身につけた知識を実際の場面でどのように活用できるかを調べる国際的な学習到達度調査です。
今回、日本は読解力・数学的応用力・科学的応用力の3分野すべてで、OECD加盟国中1位となりました。
とても明るいニュースですが、今回の記事ではこの結果を詳しく分析し
「日本の学力が高い」ということだけではないこと
これからの学びについて考えたいこと
この2つのポイントを見ていきたいと思います。
🏆 日本は3分野すべてでOECD加盟国1位
PISA2025には、世界91の国と地域から約76万人の15歳が参加しました。
日本からは約6,500人の高校1年生が参加し、読解力・数学的応用力・科学的応用力の3分野すべてでOECD加盟国中1位となりました。
一方、前回の2022年調査と比べると、数学と科学は実質的に同じ水準で、読解力については低下しています。
つまり、日本の点数が大きく伸びて1位になったというよりも、OECD全体の成績が低下する中、日本が比較的高い水準を維持したという側面もあります。
また、学力とは別の部分で課題も見えてきました。
「勉強への取り組み方を計画する」と回答した生徒は、日本では約21%だったのに対してOECD平均は37%。
「きちんと理解できたか自分に問いかけて確認する」と回答した生徒も、日本31%に対してOECD平均49%でした。
どちらも日本は平均を下回っていますね。
つまり学力は高い一方で、「自分で学び方を考える」「理解できているか振り返る」といった部分には、まだ伸びしろがあることが分かります。
💻 日本でもデジタルを使った学習は当たり前に
学校でタブレットやパソコンを使う光景は、今では珍しいものではなくなりました。
PISA2025では、学校でデジタル機器を学習目的に使用する時間についても調査されています。
その結果は、
日本:1日平均1.7時間
OECD平均:1日平均1.7時間
と、まったく同じでした。
つまり、日本の子どもたちも他のOECD加盟国と同じくらい、デジタル機器を学習のために活用しています。
「日本はデジタル機器をあまり使わないから学力が高い」というわけではなさそうです。
では、「何のために使っているのか」を見てみるとどうでしょうか。
🎮 大きく違った「学習以外」での使い方
学校でデジタル機器を娯楽目的に使用する時間は、
日本:1日平均0.4時間
OECD平均:1日平均1.1時間
でした。日本はOECD平均の半分以下です。
さらに、「理科の授業中、周囲の生徒がデジタル機器の使用によって気を散らしている」と回答した生徒は、
日本:7%
OECD平均:28%
と、こちらも大きな差が見られました。
日本ではデジタル機器を使っていないのではなく、学習には活用しながら、授業を邪魔するような使い方は比較的少ない。
これは今回の結果を見るうえで、とても興味深いポイントです。
🔍 大切なのは「使うか」ではなく「どう使うか」
もちろん、今回の結果だけを見て「デジタル機器の使い方が良いから、日本が1位になった」と結論づけることはできません。
学校での授業改善や学習環境、家庭での生活など、さまざまな要素が子どもたちの学びに関係しています。
大切なのは、デジタル機器を「使うか、使わないか」ということではなく、
「何のために使うのか」
「今の自分に必要なのか」
「きちんと理解できているのか」
と、自分で考えながら使うことではないでしょうか。
ここで、先ほどの「自分で学び方を考える」「理解できたか確認する」という力もつながってきます。
便利な道具が増えていくからこそ、自分で考え、必要に応じて学び方を調整する力も大切になっていきます。
🤖 プログラミングやAIにも同じことが言える
これは、プログラミングや生成AIにも当てはまります。
例えば、AIに問題の答えをすべて考えてもらうことと、自分で考えたうえで分からない部分のヒントをもらうことでは、同じAIを使っていても学び方は大きく異なります。
プログラミングでも、
「どうしたら思った通りに動く?」
「なぜうまく動かなかった?」
「ほかの方法ではできないかな?」
と考えながら、何度も試していきます。
そして、動かしてみた結果を確認し、必要ならプログラムを修正する。
こうした「考える → 試す → 確認する → 直す」という経験も、自分で学び方を調整していくことにつながります。
パソコンやAIを「考える代わり」にするのではなく、「考えるための道具」として使う。
デジタルが身近になった今だからこそ、大切にしたい考え方です。
🌱 「デジタルを使える」から「使いこなせる」へ
今回のPISA2025では、日本の子どもたちが世界的に見ても高い学力水準を維持していることが分かりました。
一方で、自分で学び方を考えたり、理解できているか振り返ったりする部分には、課題も見えています。
これからの学びで大切にしたいのは、
- デジタル機器を学習のために活用する
- 自分で目標や進め方を考える
- できているか振り返り、必要ならやり方を変える
- AIやパソコンを「考えるための道具」にする
といった力です。
これからは、タブレットやパソコン、AIを使うこと自体が特別ではない時代になっていきます。
だからこそ、「デジタルを使える子」になるだけではなく、自分で考えながら「デジタルを使いこなせる子」へ。
プログラミング学習でも、デジタルを使いながら自分で考え、試し、振り返り、改善する経験を大切にしていきたいですね。
出典元
文部科学省「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の調査結果」
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